地球の水を守るために、最初に知っておきたいこと

日本では不自由なく使える水
実は限りある資源です

蛇口をひねれば水が出る――そんな生活を送っている私たちはつい忘れてしまいがちですが、水は無限にあるわけではありません。

地球の約70%は海水に覆われています。しかし、海水を飲み水や生活用水としてそのまま使うことはできません。海水が蒸発して雲になり、大地に降り注いだ雨が河川や湖沼の水、地下水になってはじめて使えるようになるのです。

下の図は、日本における水の循環を示したものです。地球上に降り注ぐ雨は、35%が蒸発してしまい、私たちが使うことはできません。

地上に残る水も、多くは海洋などに流れ込んでしまいます。私たちが農業・工業・生活に使える水は、そのうちのほんの一部です。

1年間の降水量は約6,500億トン。これは東京ドームに水をいっぱいに入れたときの54万個分(*1)、琵琶湖24個分(*2)に値するほどの量です。

そのうち、私たちが使用する量(農業・工業・生活)は、東京ドーム6万5千個分、琵琶湖3個分になります。

*1 東京ドーム一個分の水量を120万m3(トン)とした場合
*2 琵琶湖一個分の水量を275億m3(トン)とした場合

先ほどの図をグラフに落として見てみましょう。全体の降水量のうち、人間の手元に届く水の量はごくわずかだとわかります。

※生活用水(150億トン)・工業用水(106億トン)・農業用水(535億トン)の一部には、地下水も使用されています。

そんな貴重な水資源を、私たち日本人は1人あたり1日約250L(※)も使っているといわれています。水資源を守るためには、私たち一人ひとりが生活の中で無駄な水の使用を避けることが重要です。

※東京都環境局
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/water/pollution/life_drainage/life_drainage.files/h19-panf.pdf

また、水の無駄使いをなくすことはCO2削減にも貢献します。水が水道水として家庭に送られるまでには、たくさんのポンプが利用されます。

節水をしてポンプの稼働率を減らせることができれば、電力消費量を抑えられ、発電の際のCO2排出量削減効果が期待できるのです。

生活排水やプラスチックごみによる
水質&海洋汚染にも目を向けましょう

水と私たちの生活の関係において、生活排水による水質汚染は避けては通れない問題です。

かつて日本では、産業排水による水質汚染が社会問題化していました。現在は規制の整備により改善されつつありますが、逆に生活排水の河川への影響が深刻化しているのです。

河川の水は一度汚染されてしまうと、元に戻すには非常に多くの時間と労力、お金が必要になります。水環境を維持するためには、まずは生活排水を減らすことで水質汚染を抑えることが必要です。

下の図は、私たち1人あたりが1日に出す生活排水の量と内訳です。2Lのペットボトル125本分と想像すると、毎日かなりの量の水を使っていると実感できるのではないでしょうか。

台所、トイレ、お風呂など、私たちが日常生活で使った水のことを「生活排水」、そのうちトイレの水を除いたものを「生活雑排水」と呼びます。トイレの水は下水処理場などできれいに処理されてから河川に放流されることが多いですが、それ以外の「生活雑排水」は処理が十分でなかったり、地域によってはほとんど処理されずに河川に放流されることもあります。

家庭でこれだけ使う「生活雑排水」の使い方を見直すことが、水質環境を改善するカギを握るといえそうです。

家庭でこれだけの水を使っているからこそ、私たち一人ひとりの行動が水質環境を改善するカギを握っているといえるのです。

生活用水、生活排水を減らす具体的なコツは、別の記事でも詳しく紹介していますので、参考にされてみてくださいね。

<参考記事>

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【生活排水Tips】水の汚れを示す「BOD」って?

水の汚れを表す単位として、よく「BOD(生物化学的酸素要求量)」という単位が登場します。微生物が水中にある有機物を分解するのに必要とする酸素の量で、数字が大きいほど水が汚れていることを意味します。

知っておくと、自分のアクションがどのように水質に影響を与えるか、イメージがつくようになります。

■例えば、これを排水に流すと…?

では、身近にあるものを排水に流すと、水はどのくらい汚れてしまうのでしょうか?また、汚れてしまった水質を改善するには、どのくらいの水が必要なのかをまとめました。

※1 BODが5mg/L以下※参照:生活排水読本(環境省)

https://www.env.go.jp/water/seikatsu/pdf/all.pdf

※2 約300L

身近にあるものをほんの少量排水に流すだけで、水質の改善はこんなに大変。いつものくせで流してしまう前に、少し立ち止まって考えてみることから始めてみませんか。

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また、最近では、マイクロプラスチックという直径5ミリメートル以下の小さなプラスチックによる海洋汚染が世界的に問題視されています。

マイクロプラスチックは、風や雨で流されたプラスチックごみが海に流れ、波や砂にもまれるうちに細かくなったもの。

プラスチックは自然分解されず海に漂い続けます。結果、海の生き物が餌と間違えて食べてしまい、健康を害してしまうなど、生態系への影響が懸念されているのです。

プラスチックは便利で生活に欠かせないものなので、もちろん使用を完全にやめることは難しいです。しかし、必要最低限の使用量に抑えれば、その影響は地球にとって大きなものになるでしょう。

本記事では、水について知っておきたいことや水資源を守るためのコツについてお伝えしてきました。一人ひとりの心がけで、水を取り巻く状況はぐっと改善します。

まずは生活排水を意識することから、はじめてみてはいかがでしょうか。

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